マインドフルネス作業療法から考える作業療法と瞑想

今月号(11月号)の精神科治療学に「マインドフルネス作業療法(MBOT)」についての論文が掲載されました.担当編集者のOさんに校正をしていただきましたが,とっても鋭い視点で校正いただき,編集者の知識の広さと気配りに驚きと敬服しているところです.このような方の努力の裏に新しい知の結晶が生み出されているんですね.

ところで,今回の論文題名は,

「感情調節困難患者へのマインドフルネス作業療法の効果検証  ─シングルシステムデザインを用いて─」(織田靖史,京極真,西岡由江,宮崎洋一:精神科治療学30(11):1523-1531,星和書店,2015)

となっています.

今回の研究では,感情調節が困難で,つい感情が走り出して感情のままに激しい行動化(自殺類似行為,暴力行為,破壊的行動など)をしてしまい,後で後悔するようなひとに対して,マインドフルネス作業療法を行う(作業療法を行う中でマインドフルネスを意識しながら行う)ことで,感情のままに行動することが減るということが分かりました.

マインドフルネス作業療法ってなんだ??と思ったかた,ぜひご一読ください<m(__)m>
でも,折角,このブログを見ていただいたので,少しご紹介しますね.

マインドフルネス作業療法といいますが,今までの作業療法と違う新しい作業療法ではありません.むしろ「作業療法」の概念に含まれており,その一部をもう一度意識するために必要となる新技術です.作業療法の中の重要なポイントであるが,最近見落とされがちである「作業にひたる,作業に身を任せる.作業を味わう」なかで感じるわたしのからだ,それを「あるがまま」に受け入れるというそれをマインドフルネスという方法に基づいて実現していきます.
図1.マインドフルネス作業療法,作業療法,マインドフルネスの関係
 
こんな感じのイメージでしょうか??こう考えるとブッダは作業療法士じゃないか?と思っちゃいます.確かに,ひとに深い理解をためにはひとの生きる営みを紡ぐ作業の理解が必要になるのでしょう.あらためて,2600年前の気付きに驚かされます・・・.科学者で,医学者ともいわれるブッタにとっては,当然かもしれませんが・・・.
 
マインドフルネスは,呼吸や歩く,からだを感じる,ヨガなどを用いておこないます.これは,特別の時間に特別なことを行うという,非日常の行為です.この非日常ということは大切で,このような時間を意識して持つことは,自分を振り返るうえでも必要だと感じています.一方,禅語で「行住坐臥」というように,日常生活をしっかりと感じることで,自分に気づきを向けられます.
このように,非日常,日常とマインドフルネスになる場はあります.しかし,に地上でマインドフルネスを感じることは,しっかりと意識し続けることが必要で,難しいことではないでしょうか?とはいえ,やはり目標は,日常生活でマインドフルな状態でいることでいられることは間違いないでしょう.
 
そのあいだを取り持つのが,マインドフルネス作業療法です.非日常のマインドフルネスと日常の生活の橋渡しをします.通常の作業療法をマインドフルネスを意識して実施することで,その役割を果たすのです.
 
図2.MBOTと作業療法,マインドフルネスのそれぞれの特徴(織田靖史,京極真,西岡由江,宮崎洋一:感情調節困難患者へのマインドフルネス作業療法の効果検証  ─シングルシステムデザインを用いて─(精神科治療学30(11):1523-1531,星和書店,2015を一部改)
 
こんな感じのイメージです.意識して行うマインドフルネスと無意識に行えているマインドフルネス,そして,それをつなぐマインドフルネス作業療法.マインドフルネス作業療法は,作業療法が「きちん」と作用するための,ウイルスバスターみたいなものでしょうか??
 
それはこんなふうにパッケージ化されます!!
 
図3.マインドフルネス作業療法の臨床使用イメージ(織田靖史,京極真,西岡由江,宮崎洋一:感情調節困難患者へのマインドフルネス作業療法の効果検証  ─シングルシステムデザインを用いて─(精神科治療学30(11):1523-1531,星和書店,2015を一部改)
 
先日のブログで書いた痛みをも抱える女性もMBOTに参加されていました.わたしたちが,わたしたちらしさを取り戻すために.また,作業療法が,ちゃんと作業療法として機能するために.なにより,苦しんでいる方に少しでも役立てますように.希望の光が差す,そのきっかけになりますように.そして,すべてのひとびとが幸せでありますように.このMBOTがその一端を担えるものになるようにしっかりと体系化していきます.
 
もし,関心をお持ちの方は,ご一報ください.
 

 
 
 







1 件のコメント :

  1. 投稿時刻に驚き、11月22日いい夫婦で(o^^o)♪フフ・・ですね。織田くんらしい投稿です。
    「作業」は、「活動する作業」と「何もしない作業」に分類もでき、「活動」と「休息」の両方のバランスが意識して、ひとはくらすことも大切。それを意識して作業療法に用いる。「活動する作業」と「何もしない作業」が織りなすハーモニーがひとつのゆらぎとなり、ひとを癒す効果を生むものと思います。
     「瞑想」はどちらかというと、「何もしない活動」に近いですね。・・・・。超越瞑想が大好きで、マインドフルネスの良さも実践している作業療法士より。

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