改定された作業療法の定義とMBOTが果たす役割

 一昨日の日本作業療法士協会定時社員総会で作業療法の定義が33年ぶりに改訂されました.作業とは何か,作業療法は何をもたらすのか,作業療法士はどうあるべきか,を示す素晴らしい定義となったと嬉しく思っています.この記事では,作業療法の定義についてご紹介し,この定義の中でわたしの研究テーマである,マインドフルネス作業療法(MBOT)が果たすべく役割について考察したいと考えています.

1.日本作業療法士協会の作業療法の定義について
 日本作業療法士協会の定義は,33年前に制定されましたが障害予防も視野に入れた文言を採用しているなど先駆的なものでした.
 しかし,時代の変化や世界の動向など,作業療法を取り巻く環境の変化や社会の要請に応えるためには,定義を見直す必要がありました.
 作業療法を行う作業療法士が,何ができるのか?これから何を担っていくのか?それを明確に示すためにも今回の定義の改定は大変注目しておりました.総会に提出された改定案は以下の通りです.

日本作業療法士協会 作業療法の定義(改定案)
作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す。 
(註釈)
・作業療法は「人は作業を通して健康や幸福になる」という基本理念と学術的根拠に基づいて行われる。
・作業療法の対象となる人々とは、身体、精神、発達、高齢期の障害や、環境への不適応により、日々の 作業に困難が生じている、またはそれが予測される人や集団を指す。
・作業には、日常生活活動、家事、仕事、趣味、遊び、対人交流、休養など、人が営む生活行為と、それを行うのに必要な心身の活動が含まれる
・作業には、人々ができるようになりたいこと、できる必要があること、できることが期待されていることなど、個別的な目的や価値が含まれる。
・作業に焦点を当てた実践には、心身機能の回復、維持、あるいは低下を予防する手段としての作業の利用と、その作業自体を練習し、できるようにしていくという目的としての作業の利用、およびこれらを達成するための環境への働きかけが含まれる。
                      出典:日本作業療法士協会ホームページより (太字,下線は筆者による)         (http://www.jaot.or.jp/wp-content/uploads/2018/05/H30gian-4.pdf)

 
 今回の改定に向けたプロセスなどを含んだ公式発表が近々協会よりあると思いますが,本当に素晴らしい定義になったと思います.これまでのご尽力いただきました皆様に心から感謝いたします.この定義はわたしたちの誇りです.そして,この定義により,わたしたちが向かうべく行動指針がはっきりと示されました.
 
2.今回の定義を通して考えたこと
 僕は,作業を通してひとは健康になり,幸福を手に入れ,学び,自己を形成し,社会とつながる!そして,未来が紡がれる!と考えています.
と,同時に時に見失いそうな自己を,作業を通して今を感じることでつなぎとめ,取り戻していく,自分らしさを再確認し再構築する,という力も作業は持っていると考えています.僕はそういう観点からも作業を探求したいと思いました.

 これからしっかりと取り組みたいと思います.

3.なぜ定義を読んでしっくりくるようになったのか
 ちなみに,わたしがこの作業の定義がしっくり来るようになったのは, #らいすた で学んだからでした.#らいすた では,特に代表である寺岡さんと京極先生が,作業についてお話しされています.ムッチャ勉強させていただいています.
 あるときには,

で学んだことと想うこと 作業療法の作業とは経験である。ひとは経験を通して成長する。もしくは、今の生活を実感する。そしてその経験とは、することにより(体験し)得られる。し故に、作業療法とは、人が経験する機会を奪わないこと、経験をサポートすることである。ある前提の上でだが
というような,学んだことから連想したことについても呟いています.
 Live Study(らいすた)おススメですよ!!

4.マインドフルネス作業療法(MBOT)が果たすべき役割
 最後にもう一度.
 僕は,作業を通してひとは健康になり,幸福を手に入れ,学び,自己を形成し,社会とつながる!そして,未来が紡がれる!と考えています.
 と同時に,時に見失いそうな自己を,作業を通して今を感じることでつなぎとめ,取り戻していく,自分らしさを再確認し再構築する,という力も作業は持っていると考えています.
 マインドフルネス作業療法(MBOT)は,後者の作業の意義に注目します.そして,それにより,前者の本来の作業の意義を高めまるものと考えています.
 僕はそういう観点からも作業を探求したいと思っています.

5.まとめ
 今回,33年ぶりに作業療法の定義が改定されました.この定義は,これからの時代にマッチした,作業療法士の果たすべき役割を示しているものであると感じています.その中で,作業の持つ力が最大限発揮されるように,MBOTは今をつなぎとめ,自分らしさを再確認(あるがまま)するというもう一つの作業の力(マインドフルネス要素)を活用していきます.そういう観点から作業を探求していこうと思いました.

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