ところで,実は,4月から教員生活をスタートさせ,運動学と研究法,基礎作業学を教えています.
その中でも,基礎作業学を通して「作業」について考える機会が増えました.また,マインドフルネス作業療法でも「作業」は重視されており,その研究や臨床実践でも「作業」に注目しています.それについては,昨年の全国学会の発表や作業療法ジャーナル誌に掲載された文章(織田靖史. 作業にひたり, 作業を味わうことで, ひとは救われる—マインドフルネス作業療法とは何か. 作業療法ジャーナル, 2017, 51.3: 244-247.),そして作業療法ジャーナル8月号に掲載予定の特集記事に書いています.
ところで,京極先生はBlogのなかで,作業療法の歴史を紐解きながら創始者たちに影響を与えたデューイの理論を解説する中で「作業=経験」であると,解釈を示されています(京極真の研究室「【講義メモ】作業科学(2016年4月20日)」2016,5,30).わたしも,この「作業=経験」という構図により作業は理解しやすくなりました.
これを少し変化させ,「何かをすること=作業」としてそれにもたらされるもの「経験」と捉えました.「何かをすること」と「経験」は密接に結びついていて話すことはできません.そして,下図のように,ひとは「なにかすること」で生活を構築しています.
次にヒトの発達を考えると,ひとは成長し,筋力や神経系など運動能力(機能)が向上したから何かをするのではなく,何かをしたいと思い,それに取り組むから運動能力が向上するのだということです.これに気づいたことは,以前のこのBlogに書きました(ひとが成長するとき).詳しくは,下図の通りです.
そして,作業と経験の関係は以下の通りです.
①できる作業の量は,社会の広がりに関係します.
②している作業の量は,そのひとがもつ能力や機能に影響します.
③それら作業による経験はそのひとの人生の豊かさや人間的な深さにつながります.
そしてこれらは,well-being(幸福)や健康につながるのです.
作業を通して成長し,作業を通して生きるのです.
しっかり,作業に取り組み,作業を通した経験を大切にしたいものです.
作業を感じ,作業に浸り,作業を受け入れる.
作業を通してひとを感じ,作業を通して場に溶け込む.
ひとに作業を.そのひとの作業を.
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