面接について

先日2月7日は,愛媛県作業療法士会の主催する第16回愛媛県作業療法学会にお邪魔し,ワークショップを担当させていただきました.

ワークショップのお題は,『「おもいをきくこと」~明日からいかせる面接の方法~』でした.当日は,実技を交えて行いましたが,皆さん熱心に取り組んでいただき,楽しかったです.

当日のキーワードは, 傾聴と共感,相手の話の文脈を理解する(本質をとらえる),受容と変化,自分の立ち位置への気づき,視点の変換,関与しながらの観察などでした.ちょっと,欲張りすぎましたでしょうか??(笑)

ところで,傾聴と共感,そして受容は,延長線上にあるもので,面接の基本となるものだと思っています.では,その本質は何か??それは,「あるがままの相手をそのまま受け入れること」だと考えています.

わたしたちが,臨床現場で面接を行う時,多くの場合変化をもたらすために行われます.そこには,適応的な「変化」という目的があるのです.目的が設定されると,「できた,できない」という評価が生まれます.それは,ある時点での行動や思考などの現象を通して行われるものです.

しかし,本当にそれでよいのでしょうか?確かに,ある時点での評価は必要でしょう.しかし,それは一方では,相手を受け入れないということにもなりかねません.量子学的にいうと,「観察したその時にたまたまそのような状態にあった」と言えるのかもしれないのです.その危険性を減らすために,わたしたちは絶えず評価を繰り返します.そして,データを更新し続けるのです.

では,その評価から自由になってみてはどうでしょう?今の目の前にいるそのひとをそのまま受け入れてみる.変化という視点でなく,そのひと自体を受け止め,受け入れてみる.この世は「無常」です.変化しないものはない.それを起こそうと焦るのではなく,それに気づきを向ける.何らかの変化が,そこに見えてくるはずです.

その時,それが好ましくないものに思えても,無理強いしない.そんなとき,わたしはよくあの名場面を思い出します.「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の
一場面です.エースが味方のエラーの後,独り相撲をとってストライクが入らず負けた試合のミーティング.雰囲気は最悪なチームは分裂しそうになります.無口な監督が叫びます.「フォアボールを出したくて出す投手なんていない!」この言葉が,私の脳裏にもよみがえるのです.

そして,その言葉それすらも手放します.なぜなら,そのひとがどうであれ,そのひとの本質は変化にこそあるのですから.そして目の前のひとをそのまま受け入れるのです.少なくとも私はそう考えています.

1 件のコメント :

  1. 素晴らしいです。 
     織田先生 愛媛学会ありがとうございます。奥深い内容に感謝しています。
     特に面白かったののが「チューリップ」の花の絵を用いた説明でです。対象を「チューリップ」と認識すると、そこから見たり、聞いたりする意識が薄れてしまう傾向に、私たちはなりやすい点。これは、大変分かりやすい説明でした。レッテルを張ってしまうと、細かくみたり、聴いたりする、興味関心が薄れる傾向にありますね。
     傾聴と共感、しかし感情に支配されないで、無条件のホールディング、自分自身を含めた「あるがまま」を受け入れている状態。これは、頭で分かっていても、価値判断や到達度などのギャップからくる否定的な感情に、自分自身が翻弄されます。 
     昨年の愛媛学会の講師 OTR山根先生が言われた言葉の主旨「作業療法士に求められるのは、OTマインドとOTセンス、そして、アートとテクニック」。「センスとマインド」そして 「アートとテクニック」がひとを癒すキーワドと いま 思います。
     どちらにしても、「偏見」や「思い込み」「〇〇するべき」など自分の目を曇らせる「思考」を手放した状態であるエポケー状態でいると、援助者自身が幸せで、それでいて、沢山のことが「みえる・わかる」。
    でもなかなか見えることを良い、悪いなどの「判断」することから、離れるのはトレーニングが必要で、いま、そのトレーニング中です。 
     そして、波動や量子の世界を理解しやすく、おおくの援助が可能な時代になりました。OTの世界でもパラダイムシフトが起こりだしています。どれでは、また、・・・。   

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