学会体験記
「社会の文化の成熟度は、辞書の厚さが物語る」などと言われますが、ならば「学術における成熟度は、学会誌の厚さが物語る」といったところでしょうか。現在は、学会誌もCD-ROM化されており、厚さというより内容の濃さということになりましょうが・・・。今学会では、文化特に多文化交流について考えることが多くありました。WFOT日本大会に向けてもそうですが、異文化の人と交流するためには、まず自分の文化を知ることが必要なようです。その意味においては、学会において現在の作業療法に触れることは大切なことでしょう。また、今回の太田睦美学会長の講演は、非常に面白い趣向であり、落語調の語り口が私の心に染み込んで来たことから、私も「してみんとてするなり」でひとつご報告をいたしたいと思います。
熊:聞くところによると、6月19日から6月21日まで福島県郡山市であった第43回日本作業療法学会に行かれてたそうで。学会はどうでした?
八:いやいや、よかったよ。なんせ、街のいたるところに歓迎なんてポスターが貼ってあって、普段言われなれてねぇオイラにしてみりゃ、なんかそれだけで嬉しくなっちまう。それになんせ涼しいってのがいいね。ここいら、南国高知とは違って吹き抜ける風が心地いいや。
熊:へぇ、そうなんですか。そりゃ、よかったですね。たまに日常から離れて、そんな空間にひたるのもいいもんですかねぇ。
八:そりゃそうよ、おめぇ。いつもと違う空間だからこそ、普段の自分から離れてどっぷりとひたれるとしたもんよ。そんな場で、「社会の変化と作業療法士の役割再考」を考えるなんて作業が出来るんだから「(作業療法士の)役割最高」だねぇ。
熊:そんな意味もあったんですかい。ところで、学会って奴はどんなところなんですかい?
八:「ビックパレットふくしま」って、でっけぇ箱の中でやんだよ。その中で、講演やシンポジウムやワークショップや業者セミナーや演題発表がある。さしずめ一つの街だな。一つの場に人が集まってきて、別々のことをやり、それぞれにつながったり、一人になったり。影響を与えたり、受けたりしながら、新たな自分と出会っていく。
熊:なんかよく分かんないけど、ワクワクしてきますねぇ。
八:そうよ。熱気ってのが、すげぇんだ。オイラなんか、すげぇ汗で、心配されて声かけられたくれぇよ。
熊:元々汗っかきじゃねぇですか・・・。
八:そりゃそうと、今回の学会はいろんな面白い試みがあってな。まず、学会長講演の話が良かった。文化とそれを支える作業について考えたな。それに、屋台がいっぱい来ててな。みんなが集まってくるから、そこで話が盛り上がるって趣向よ。そして、ポスター発表。いつでも見れるし、ブースに分かれてんで集中できる。
熊:へぇ。面白れんですね。行ってみてぇ。そういや、今回発表したんですってね。
八:おう。発表した。発表して分かったことがある。聞くときと発表するときの役割に違いってのがな。
熊:どういうことで?
八:やっぱり、聞くときゃ、明日からの臨床に生かしてやろうって、耳の穴かっぽじって、耳を皿のようにして聞くが、発表の時はどうやって伝えるかって、話すことばかり考えちまう。聞くときゃ、もう少し大きな声で話せよって思うのに、自分の話す段になりゃ、ちゃんと聞いとくれよって、現金なもんだよなぁ。
熊:役割がかわるってぇと、違うもんなんですね。
八:そうなんだ。大きく変わる時代の流れの中で、うちらもどう変わっていくか、または変わらずにいるかって問い直し、進んでいくことが大切なんだよな。つくづく感じたよ。それにな、アイデアを意義ある形にするには力が必要だってこともな。
熊:そうなんですね。いい学会だったんですね。ビックパレットだけに、彩どりも鮮やかに個性を持ち寄って。学会長にちなんで、仲睦まじくってとこですね。
学会長の講演に触発されて、落語調にしてみました。さて、はたして私のアイデアは力を得ることが出来ていますでしょうか?
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