相互承認のために

 信念対立解明アプローチによると,対立には建設的な良い対立もありますが,その多くは不毛な対立となってしまいます.そのようないがみ合うだけの不毛な対立は不幸にしかつながりません.それどころか,そのいきつくさきは戦争になると言われています.詳しくはこちらで(笑)


それを回避する方法として,わたしたちが寛容であることが挙げられます.ひとは,だれもがひとに迷惑をかけない範囲での「自由」を持っていると言われています.その「自由」をお互いに認め合うこと.そして実存的存在である他者の在り方を受け入れること.それが争いを回避する上で重要でしょう.このようにわたしたちは,寛容さをベースとした相互承認をすることが対人関係において重要なスキルとなります.

では,承認とはなにか??

承認が求められる場面とは,きっと何か不都合なことが起こった場面でしょう.適応的ではない思考や感情や行動により,価値観同士のぶつかりを生む様なときであると思います.したがって,承認には色々な定義があると思いますが,ここでは弁証法的行動療法(DBT)に基づいて解説していきます.DBTについて詳しく知りたい方はこちらを.


DBTでの承認は,「相手の認知(思考)や感情,行動などについて,その中に相手の置かれた文脈において理解できる(納得できる)ところ(=妥当性)を探しだし,そのことを伝えて共有することである」と私は理解しています.このとき重要なことは,「承認」は承認する主体である自分と「承認」される対象である相手が,「承認」という体験やそれの持つ意味を共有するということになります.すなわち,承認はただ相手の認知,感情,行動を受け入れるというのではなく,自分が納得できるものでなくてはならないのです.また,それをその行為をした当事者である相手自信が受け入れられるものでなくてはならないということなのです.すなわち,なんでもOKというわけではなく,そこにこそ相互主体があります.

例えば,Aさんがわたしによって承認されるとき,そこはAさんの行為でAさんを取り巻く文脈におけるその行為の妥当性をわたしの納得できる範囲で探しだし,それをAさんに伝えて,Aさんがそれに妥当性を見出し,受け入れることで共有していく.このようなプロセスの中で承認が成立していきます.すでにお気づきの通り,ここでは,①妥当性を見出す主体であるわたしと対象としてのAさん,②それを受け入れるか判断するAさんと判断される対象であるわたし,という二重構造があり,承認というプロセスが成立するためにはこの相互承認がポイントとなるのです.

このように承認には,単にすべてを認めるというわけではなく妥当性を見出すということ,そして相互承認のプロセスを取ること,この2つが含まれるのです.

じゃあ,どうすれば,承認が上手にできるようになるのか?

先にも書きました通り,「承認」とはスキルです.これをするには,トレーニングが必要です.では,どのようなトレーニングが必要なのか?これは,この次の記事で.

0 件のコメント :

コメントを投稿