相互承認のための承認スキルトレーニング方法③

 昨日,一昨日と承認スキルのためのトレーニング方法についてご紹介してきました.
 過去の分はこちらです.
 

 相互承認のための承認スキルトレーニング方法①




 引き続き,今日は第3弾として,テーマを「チャンネルを合わせるということ」にし,それについてお話ししたいと思っています.

 みなさんは,チャンネルを合わせるというとどんなイメージをお持ちでしょうか?面接法の本などでよく言われているのは,チューニングという説明です.自分の周波数を相手にあわせることで,相手との話をより深めていく.そのための方法として,声や仕草での相槌や聴く態度などが指摘されています.例えば,神田橋先生などは「ほぉ~」という声の声色や大きさ,タイミングなどで相手への伝わり方が違うとお話しされています.


 また,第一弾としてお話しした態度で面接者自身が自分への固執から離れることで,第二弾でお話しした自由に相手の経験を追体験することなどにより,相手の気持ちにフィットしてチャンネルを合わせやすくなるように思います.これは,みなさんも臨床で多く経験することでは無いでしょうか?

 それにくわえて,今回はとっておきのトレーニング方法をご紹介します.これは私が自分のためのトレーニングとして実施したことで,エビデンスは限りなくゼロに近いですが,自分自身の生々しい経験としては最高に効果があるトレーニングであったと自負しているものです.あんまり,ひとに伝えたくないのですが・・・.その理由は・・・,以下をお読みいただくとわかるのではないかと思います.

 実際のトレーニングをお話しする前に,そのようなトレーニングをするようになった背景を少しお話ししたいと思います.

 岡山の学校を卒業した私は,高知県に就職することになりました.元来人見知りのわたしは友達もおらず,また初めての病院勤務もなかなか慣れずに,緊張から吐き気を催しエヅキながら通勤するような毎日でした.上手くひとの気持ちが分からず悩んでもいました.今でもそうですが,わたしは自然とひとと接せられるようなセンスのあるタイプではありません.だからなのか,幼少期からひとの顔色を見るクセはありますが・・・.それも,ネガティブに受け取りがちです.おっと,話がそれました.それはそうと,高知で孤独なおとこがひとり休みの日にすることもなく,閉じこもっていたのでした.
 ところで,高知には帯屋町という大きな商店街があります.よさこいの本会場である追手筋の一本南側に位置しています.帯ブラという言葉もあるほど高知では愛されている商店街です.そこにはアーケードがあって,全長500~600mくらいで横幅もしっかり広く,休みの日には観光客も含め大勢のひとがいます.そして,その中には,広告やポケットティシュを配っているひともいます.
 その帯屋町商店街がわたしのトレーニングの舞台でした.今でもそうですが,人見知りのくせにひと好きで,ひと嫌いのくせに人一倍寂しがりで,ひとごみ苦手なくせにひとの集まりにこころ踊るといった性格で,なおかつ街歩きの好きな私は,当時ひと恋しさが募っており,どうしようもない衝動から帯屋町に行くことになりました.しかし,行ったからと言って,何が変わるわけでもない.そこで編み出したのがこのトレーニングなのです.そう,これは当時のアラサ―男の悲哀の産物なのです.

ーチャンネルを合わせるためのトレーニングー
 ①帯屋町の商店街を一往復する.キョロキョロせずに,自分の身体やその場の雰囲気を感じながら歩くように,少しゆっくり目に歩く.その時に,自分の当日のコンディションを感じる.
 ②再び帯屋町の商店街を一往復する.その際には,自分の中に閉じこもり気配を消すイメージで歩く.視線は動かさずに,ペースも変えずに淡々と歩く様にする.その際に,特にティッシュや広告を配るひとから気配を消し,それを差し出されないように気を付ける.
 ③さらに帯屋町商店街を一往復する.次は,自分を解放する感じで,外の世界から来るいろいろな感覚刺激に注意を向けていく.また,自分の気配を周囲の他人と重ね合わせるイメージを持って歩く.特に,ティッシュや広告を配るひとに自分の感覚を広げるイメージを持ち,自然に相手から差し出してもらえるように意識する.
 ④自分の中で感じた経験を振り返り,その感覚に再び浸ってみる.できたらその時の感覚を言葉にしてみる.(言葉にならない時には無理に言葉にしない)
 ⑤自分の中で納得がいくまで繰り返す.

 いつも一時間くらい,帯屋町にいたと思います.①~③までひと通りやったら,一度金高堂(書店)に行き,振り返りながら本を購入し,再び繰り返す.今振り返ってみると,何やってるんだろ??て感じであやしさ限りないですが,そんなに周りのひとは自分のことなんて気にしていないことが分かりました(笑)それは,自意識過剰なわたしにとって,マイクロフラストレーションともいうべき小さな傷付きでしたが,それよりも大きな気付きにつながったのだと思います.気楽になりました(笑)そして,自分も対象化できるようになってきました.そのタイミングで,様々なスーパービジョンを受けられたのは,今でも大きな財産になっています.

 それはそうと,相手とチャンネルを合わせるためのトレーニング.みなさんいかがでしょうか?

 トレーニングは他にもありますが,それはまたいづれ.

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