そのようなときにどうするのか?
不毛な対立に関しては,①解決する,②解明する,という2つの手段があるようです.このうち①解決するというのは問題に適切に対処し,問題が起こっているその現象に対して現実的にその問題が解消するような行動を起こすということになります.次に②解明するというのは,問題が成立する条件ごと疑い,その前提を破綻させることで,問題自体成立しなくするということになります.この辺りは,京極先生の著書に詳しいです.
しかし,不幸にも解決や解明が難しい場合,なかなか進まない場合も現実には見受けられるようです.そのような場合,③対立を受容する(受け入れる)といったことも必要かと思います.これは,正確に言えば解決や解明の一部であり,特に解明アプローチではこのような態度,テクニックにも言及されています.
では,その解決,解明,受容のために必要なわたしたちの態度は何でしょう?
これは,寛容と相互承認であると私は考えています.これについては先のブログで述べた通りです.では,「承認」をするためには,どのようなトレーニングが必要なのか?
まずは,態度です.京極先生の信念対立解明アプローチでも「解明態度」として書かれていますが,問題に向かうとき,また他人と接するとき,わたしたちがどのような態度でいるのかが重要となります.
これに対して,精神分析家のBionは,「記憶なく,欲望なく,理解なく」と言っています.この言葉を私なりの解釈で説明すると,記憶なくとは前はどうだったなどの先入観を持たないこと,欲望なくとはこうなるべきやこうしたいなどのコントロール願望を持たないこと,理解なくとは相手のことを自分のイメージの中に置き換えて分かった気にならないということです.このように,常に中立的であることが求められます.
ひとは,中立的であることは難しいものです.なぜなら,ひとは常に主観の中で生きており,自分から離れ,自らを対象化することは至難の業だからです.ですから,中立であるためにはトレーニングが必要となります.
そのための1つは,スーパービジョンを受けることです.難しい場合は,誰かと話すだけでも構いません.第3者の目を入れることで,その視点を自分で意識することが重要です.そして,その第3者の視点を自分に内在化することが重要となります.これは,現在注目されている認知行動療法(CBT)でも指摘されているところです.
現実に起こった現象によって,自分の体験した思考や感情,そしてそれに伴う身体的な反応,また,相手が体験しただろう思考や感情,それに伴う身体的な反応,それらを第3者に話し,その妥当性をはかっていくことで,自らを中立化し,双方や外界に起こった現象を等しい価値に客観化していく.すなわち,わたしの感情もあなたの感情も同じ価値だと認め,外界で起こった現象にもそれと同じ価値を見出す.よって,全てが等価値となる.ここに寛容さが生まれます.
しかし,スーパービジョンや他者と話すことも,対人関係がそこに絡むことからストレスを感じます.また,どうしても相性もあり,上手くいかないこともあります.そのようなときにはどうするのか?
同じような態度を獲得できるものとしてマインドフルネスがあります.マインドフルネスとは,態度でありこころの在り方であり,そのような瞑想法(トレーニング)でもあります.マインドフルネスとは,自分の中に立ち現れる現象をあるがままに受け止め受け入れることです.その練習を瞑想を行うながら実施します.この瞑想法は,2600年前のブッタの瞑想法に由来します.具体的には,このような本も出ています.
マインドフルネスを用いることで,中立的な態度はより担保されるようになります.それについては,以下の書籍も引用されています.
承認のためには,まず態度が重要というのは以上の通りです.では,次は,それはまた次の記事で.
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