相互承認のために
相互承認のための承認スキルトレーニング方法①
きょうは,承認スキルトレーニング方法の第二弾として,相手の話の中から承認する題材を探し出すスキルを高める方法についてお話ししようと思います.個人的には,「面接」と行う中で,重要なスキルだと思っている内容になります.
面接については,以前にも書きました.
ここに書いてあることがわたしの基本であることは変わりませんが,その能力を高めるためにこういったトレーニングをしてきました.
①文脈を読むためのトレーニング
面接で重要なことは,相手の話の内容に反応するのではなく,その文脈を掴むことであると言われています.
例えば,妻が「昨日髪を切った」という話をしたら,「どこで切ったのか?」「なんで切ったのか?」「いいね」などと「髪を切った」という内容に反応するのではなく,なぜ今そんな話をするのか?という文脈に焦点を当てるのです.
「似あっているか不安なのに何も言われない」からかも知れませんし,「髪を切るほどイライラしている」のかも知れません.また,「髪を切りにいくのに子供を連れて大変だった」という苦労話の裏にある家事への協力を求めているのかも知れません.もしそうであれば,「似あっているね」なんて,火に油を注ぐだけです.
では,そうならないためにどうするのか??
文脈を読むということ,本質を掴むということが重要になります.そのトレーニング方法とは・・・.
これには,いくつかの段階があると思いますので,順を追って紹介します.
a)相手の文脈を掴むための素材を集める
よく言われているのは,多くの物語を読むことだと言われています.映画やドラマなど映像でもいいかもしれません.登場人物の経験を追体験してみる.感情移入してみる.たくさんの空想をするといろいろな景色が見えてきます.そうすることで,いろいろな可能背を考えることができ,文脈に近づくのではないかと思います.
このフェーズは,面接時やDBTにおけるの(積極的な)観察の過程に当たるといえば理解しやすいでしょうか.相手をよく見て,情報を収集し,目の前に表れている現象はもちろん,あらわれていない様な出来事や思い,本人すら気づいてない様な思考や感情に気付きを向けます.
b)集めた素材から本質的なものを探す
たくさんの空想や追体験から得られた情報を基に相手の話の文脈に最も合っていると思われるん\ものを選択します.この過程においては,本質を掴むということが重要です.本質を掴むための方法は,関心相関的本質観取(京極 真:「方法」を整備する-「関心相関的本質観取」の定式化.看護学雑誌72(6),530-534,2008)があります.これは,現象学的本質観取を構造構成主義により発展させたものであり,「関係者間で相互了解可能な考えを作りだすための原理的思考の方法である」(京極 真:理論的研究の方法論としての構造構成的本質観取,吉備国際大学研究紀要(保健科学部)第21号,19 〜 26,2011)とされています.
具体的には,なにかテーマとなるものを決めておいて,それについて誰もが納得できるような最も言い表せているであろう言葉を探すということを繰り返します.
例えば,僕が始めてそのトレーニングをした時には,「死」がテーマでだったのですが,
①「死」について全員が納得できる形で最も言い表す言葉を探す
②出てきた言葉について,お互い共有し,相互了解が可能であるか確認する
という手順を踏み関心相関的本質観取のトレーニングをしました.
これは,質的研究法のトレーニングとも似ています.とにかく,第一段階で出てきた素材から「これだ!!」と思うものを探り出すのです.
このフェーズは,面接時やDBTにおける,「言い換え」の過程と言うこともできます.観察で得た情報を,言葉に置き換えて相手に伝える.そして相手が了解可能なものを探し出す.その過程と言えるでしょう.
この,第1段階,第2段階を経て,承認すべき題材を見つけ出すことができます.とにかく,素材を集めて,本質を見抜くことではないかと考えています.
ここまでくれば,後は伝えるだけなのですが・・・.この次に関しては,また別の機会に.
ちなみに私が学んだ面接についての本です.
作業療法における面接はこちら
わたしがMBOTやDBTについて書いたものも掲載されています
わたしがMBOTやDBTについて書いたものも掲載されています
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